野村胡堂を顕彰する賞は、「野村胡堂文学賞」と「あらえびす文化賞」の二本立て

「野村胡堂文学賞」は、昭和を代表する国民的作家である野村胡堂氏を顕彰する目的で、「一般社団法人日本作家クラブ」が創立60周年記念として創設した文学賞です。

 2014年(平成24年)1月に第1回受賞式を行った全く新しい文学・文芸賞です。第2回目以降は氏の生誕月である10月に、記念碑のある神田明神で開催、と固定化されることになりました。 多様な顔を持つ大先達、野村胡堂氏のなした膨大な仕事と生涯のうち特に、江戸の下町を舞台に“岡っ引き”が活躍する国民文学、捕物小説の一大傑作である「銭形平次」を著し、戦前戦後を通じて庶民、大衆を勇気づけたといえます。

 現代においても時代物(髷もの)に対するファンは多く根強いものがあります。 よってここに時代・歴史小説ジャンルの「野村胡堂文学賞」を制定し、野村胡堂氏に匹敵するような時代・歴史小説作品に毎年栄誉を讃えることとなりました。 また、野村胡堂氏は、幅広く、奥行きの深い知識と知恵を持った戦前・戦後を通しての昭和日本を代表する教養人・知識人でもありました。新聞記者、編集者、大衆文芸作家としての顔はもちろん、「あらえびす」の筆名による格調高い珠玉の音楽評論でも知られています。

 氏のあらえびす評論家の業績にちなみ時代・歴史小説以外の部門について授賞する「あらえびす文化賞」を新たに制定いたしました。 ここに野村胡堂を顕彰する賞は、「野村胡堂文学賞」と「あらえびす文化賞」の二本立てとなりました。

 野村胡堂を顕彰する賞を主宰する当クラブは、その志と組織を受け継ぎ、未来永劫に胡堂の遺徳と功績を語り継ぐと同時に、併せて、胡堂と歴代の捕物作家クラブ、日本作家クラブに属した文豪、先達、歴代会員の思いを継承、発展させながら、胡堂たちが愛し、築き上げた時代小説や歴史小説のさらなる発展の一助となることを願っています。

歴代受賞作品

野村胡堂文学賞

第1回 平成25年10月15日
小中陽太郎「翔べよ源内」 平原社

第2回 平成26年10月30日
塚本靑史「サテライト三国志(上・下巻)」 日経BP社

 
特別賞 高橋英樹「高橋英樹のおもしろ日本史」 KKベストセラーズ

第3回 平成27年10月2日
鳴神響一「私が愛したサムライの娘」 角川春樹事務所

第4回 平成28年10月2日
吉川永青「闘鬼斎藤一」 NHK出版

第5回 平成29年10月6日
熊谷敬太郎「吼えよ江戸象」 NHK出版

第6回 平成30年 7月3日
秋山香乃 「龍が哭く」 PHP研究所

第7回 令和元年 7月4日
木下昌輝 「絵金、闇を塗る」 集英社

第8回 令和2年 7月1日
今村翔吾 「八本目の槍」 新潮社

第9回 令和3年 10月15日
砂原浩太朗 「高瀬庄左衛門御留書」 講談社

第10回 令和4年 10月15日
蝉谷めぐ実 「おんなの女房」 KADOKAWA

あらえびす文化賞

第1回 平成28年4月24日
吉村卓三 動物学、獣医学の研究成果を『鳥と卵と巣の大図鑑』(ブックマン社)として上梓


特別賞 舟木一夫 テレビドラマ「銭形平次」を熱唱

第2回 平成29年10月6日
笠原章 劇団若獅子30周年および新国劇創設100周年を顕彰

第3回 平成31年4月18日
江戸総鎮守 神田明神宮司 大鳥居信史 永年にわたり神田明神の宮司を務め、神田祭や銭形平次の碑建立に貢献した功績

第4回 令和2年10月15日
一般財団法人 100万人のクラシックライブ 代表 蓑田秀策 クラシック音楽のコンサートを通じて社会に幅広く普及、伝達

第5回 令和3年11月18日
クラリネット奏者 花岡詠二 スウィングジャズの先駆者としてジャズの発展に貢献

第6回 令和4年6月8日
俳優 高橋英樹 映画やテレビドラマでの名演技が国民に夢や希望、勇気を与えた功績