「遺訓の言葉はな、恐れた相手たちから学んだことよ」病床に伏す家康は、遺訓を書き終えて側近の儒者・林羅山に告白する。自分は怖がりだったが故に、天下を取れたのだと――。
信長、秀吉、利家、三成など、家康が出会った八人の武将たち。彼らの何に恐れ、何を学んだのか。天下統一を成し遂げるまでの半生を家康視点・時系列で追うことで彼の実像に迫る、連作短編集。これまでにない家康小説!(カバー裏面より)

吉川永青(よしかわ ながはる)

1968年、東京都生まれ。横浜国大経営学部卒。2010年『戯史三國志 我が糸は誰を操る』(講談社)で第5回小説現代長編新人賞奨励賞を受賞して作家デビュー。15年『誉れの赤』(講談社)で第36回吉川英治文学新人賞候補。16年『闘鬼 斎藤一』(NHK出版)で第4回野村胡堂文学賞受賞。22年『高く翔べ 快商・紀伊國屋文左衛門』(中央公論新社)で第11回日本歴史時代作家協会賞作品賞受賞。著書に『治部の礎』(講談社)、『乱世を看取った男 山名豊国』(角川春樹事務所)、『写楽とお喜瀬』(NHK出版)他。日本作家クラブ名誉会員。

2023年 NHK大河ドラマは「どうする家康」(主演・松本潤)です。徳川家康が主人公になるのは1983年の「徳川家康」(主演・滝田栄)以来40年ぶりです。これから年末に向けて家康関連本が続々と刊行され書店店頭を賑わすことでしょう。本書を読めば大河ドラマがより一層楽しめます。

本書は、いきなりの文庫版ですが、ベースとなったのは「Web集英社文庫」(2022年3月~9月)に配信されたものを加筆・修正したオリジナル文庫です。家康と対峙するのは信玄、信長、秀吉はじめ石田三成や真田幸村など、これまでの大河ドラマでは主役を飾った戦国スターたち。家康は臆病者だったから天下を取れた!? 新たな切り口で家康の実像に迫る、連作短編集です。

文庫版のお楽しみは解説が付くことです。本書の解説者は文芸評論家の末國善己さんです。末國さんは野村胡堂文学賞の第一次選考委員を務めています。

【書誌データ】

◆著 者

吉川永青 (経歴はこちら

◆出 版 社

集英社

◆発 売 日

2022年10月20日

◆価 格

924円(本体840円+税)

◆ISBNコード

978-4-08-744446-9