高橋英樹氏といえば日本を代表する大物俳優である。17歳で日活デビューを果たし、24歳にしてNHK大河ドラマ「竜馬がゆく」の武市半平太を熱演。以降、時代劇には欠かせない存在となり、「国盗り物語」の織田信長を演じることによって不動の地位を確立し今日に至っている。
日本作家クラブともご縁が深く、当クラブ第2代理事長・山手樹一郎の原作によるTVドラマ「桃太郎侍」でも主役を務めている。高橋氏の圧倒的な存在感や演技力、華麗なる殺陣捌きで視聴者を魅了し、今でもCS等で繰り返し再放送されるほどである。
その高橋英樹氏が桃太郎侍を演じた数年間にわたる知られざる真実を、七転八倒の日々を、当事者ならではの視点で縦横に語り尽くす“高橋英樹スペシャルトークイベント”が2022年2月5日に桶川市民ホールで開催された。このイベントは埼玉県桶川市にある「さいたま文学館」(銭場正人館長)主催による企画展「『桃太郎侍』生みの親 山手樹一郎の世界」(1月15日~3月6日)の一環で、同館学芸員の影山亮氏の質問に高橋氏が応えるというトークショーのスタイルで行われたもの。
「桃太郎侍」の主役に決まると、原作者の山手樹一郎邸には電車で挨拶に伺ったことや、ドラマ初期には原作に忠実なためかチャンバラのシーンが少なく、主題歌を歌う三波春夫さんのアドバイスで殺陣シーンが増えたこと、等々が淀みなく、楽しく、語られた。
俳優であれば誰しも羨むような歴史上の数々の英傑を演じてきた高橋氏だが、脇を固める敵役の存在があればこそ主役が生きる、などの含蓄のある言葉の束に、聴衆は改めて高橋氏の真摯な人間性のとりこになったに違いない。時にしんみりと、時にユーモアで爆笑の渦にと、面白くて役に立つ、まさに充実の60分間だった。
なお高橋氏はドラマを演じるに当たっては、台本を読むだけではなく、主役の人物像を徹底的に調べるという。ドラマの原作や関連書籍を渉猟し、ドラマの舞台地を訪ね、城跡や寺院仏閣、書簡の類までを自らの眼で確認する。郷土史家の話を聞いたりして、役柄の人物に迫る。そして何よりも多くの視聴者の持っているその歴史的人物の人物像を壊すことなく、少しでも新しい視点を加えて昇華させてきたという。その飽くなき探求心が俳優・高橋英樹氏の真骨頂である。
こうした俳優だからこそ描くことのできた集大成が『高橋英樹のおもしろ日本史』(KKベストセラーズ刊、2014年)である。この本に対して日本作家クラブは第2回野村胡堂文学賞特別賞を授与している。会場では企画展の図録とともに本書が販売されており、高橋氏のサインが入った30冊はアッという間に完売となった。
(文責・藤橋和浩)
日本作家クラブともご縁が深く、当クラブ第2代理事長・山手樹一郎の原作によるTVドラマ「桃太郎侍」でも主役を務めている。高橋氏の圧倒的な存在感や演技力、華麗なる殺陣捌きで視聴者を魅了し、今でもCS等で繰り返し再放送されるほどである。
その高橋英樹氏が桃太郎侍を演じた数年間にわたる知られざる真実を、七転八倒の日々を、当事者ならではの視点で縦横に語り尽くす“高橋英樹スペシャルトークイベント”が2022年2月5日に桶川市民ホールで開催された。このイベントは埼玉県桶川市にある「さいたま文学館」(銭場正人館長)主催による企画展「『桃太郎侍』生みの親 山手樹一郎の世界」(1月15日~3月6日)の一環で、同館学芸員の影山亮氏の質問に高橋氏が応えるというトークショーのスタイルで行われたもの。
「桃太郎侍」の主役に決まると、原作者の山手樹一郎邸には電車で挨拶に伺ったことや、ドラマ初期には原作に忠実なためかチャンバラのシーンが少なく、主題歌を歌う三波春夫さんのアドバイスで殺陣シーンが増えたこと、等々が淀みなく、楽しく、語られた。
俳優であれば誰しも羨むような歴史上の数々の英傑を演じてきた高橋氏だが、脇を固める敵役の存在があればこそ主役が生きる、などの含蓄のある言葉の束に、聴衆は改めて高橋氏の真摯な人間性のとりこになったに違いない。時にしんみりと、時にユーモアで爆笑の渦にと、面白くて役に立つ、まさに充実の60分間だった。
なお高橋氏はドラマを演じるに当たっては、台本を読むだけではなく、主役の人物像を徹底的に調べるという。ドラマの原作や関連書籍を渉猟し、ドラマの舞台地を訪ね、城跡や寺院仏閣、書簡の類までを自らの眼で確認する。郷土史家の話を聞いたりして、役柄の人物に迫る。そして何よりも多くの視聴者の持っているその歴史的人物の人物像を壊すことなく、少しでも新しい視点を加えて昇華させてきたという。その飽くなき探求心が俳優・高橋英樹氏の真骨頂である。
こうした俳優だからこそ描くことのできた集大成が『高橋英樹のおもしろ日本史』(KKベストセラーズ刊、2014年)である。この本に対して日本作家クラブは第2回野村胡堂文学賞特別賞を授与している。会場では企画展の図録とともに本書が販売されており、高橋氏のサインが入った30冊はアッという間に完売となった。
(文責・藤橋和浩)