一般社団法人日本作家クラブ(理事長・竹内博)が主催しております第12回「野村胡堂文学賞」(株式会社ファミリーマート協賛)の受賞作品は、作家の武内涼(たけうち りょう)氏の歴史小説『厳島』(新潮社刊)に決定しました。受賞作決定の公表日10月15日は、日本作家クラブの初代理事長を務めた野村胡堂(1882-1963)の誕生日です。授賞式は11月11日(月)午後4時より神田明神内の明神会館にて執り行います。
 
選考会は10月4日に日本工業倶楽部で開催され、文芸評論家の郷原宏氏(委員長)、作家で第3回野村胡堂文学賞受賞者の鳴神響一氏、当クラブの竹内博理事長の三名の選考委員による合議によって決定しました。

武内 涼『厳島』(新潮社)

 「戦国三大奇襲」として知られる「厳島の戦い」。兵力わずか四千の毛利元就軍が二万八千の兵を擁する陶晴賢軍を厳島におびき寄せ、奇襲を成功させた名勝負の影には、知られざる壮絶なドラマがあった。吉川元春、小早川隆景ら有力武将を従え、敵どころか味方や血縁すら翻弄する冷酷無比な調略で勝利への道筋を固めていく毛利元就。一方、陶方の武将で岩国の領主・弘中隆兼は、元就の策に気付きながらも、主君・春賢の命に従い死地に身を投じていく――。謀略で勝利した元就と、義を貫いて敗れた隆兼。対照的な2人の男を通して人間の矜持を問う歴史巨編。

 
◆武内涼さんのプロフィール
1978(昭和53)年、群馬県生れ。早稲田大学第一文学部卒。映画、テレビ番組の制作に携わった後、第17回日本ホラー小説大賞の最終候補作となった原稿を改稿した『忍びの森』で2011(平成23)年にデビュー。2015年『妖草師』シリーズが徳間文庫大賞を受賞。2022(令和4)年『阿修羅草紙』で第24回大藪春彦賞受賞。他に『戦都の陰陽師』シリーズ、『忍び道』シリーズ、『謀聖 尼子経久伝』シリーズ、『駒姫―三条河原異聞―』『敗れども負けず』『東遊記』などの著作があります。