
「あらえびす文化賞」とは
About ARAEBISU Cultural Prize
本賞は、大正・昭和を代表する国民的大作家である 野村胡堂を顕彰する目的で、「一般社団法人 日本作家クラブ」が創立60周年記念事業の一環として創設し、先ず2013年に「野村胡堂文学賞」、2016年に「あらえびす文化賞」の授賞式を行ないました。野村胡堂は、その生涯の中で、特に江戸の下町を舞台に“目明かし”が活躍する国民文学、捕物小説の一大傑作である『銭形平次捕物控』を著し、戦前・戦後を通じて庶民、大衆を勇気づけてきました。もう一つの顔がペンネーム「あらえびす」として一世を風靡した格調高い音楽評論家。本賞は、こうした胡堂の多様にわたる業績をカバーするために文学賞を除いた文化全般を対象にしています。
日 時
Date and time
- 令和8年6月4日(木)
午後4時
会 場
Location
- 神田明神
住所:東京都千代田区外神田2丁目16-2
第十回 あらえびす文化賞 受賞者
10th Araebisu Cultural Prize winners

■受 賞 の 言 葉
このたびは、あらえびす文化賞を賜り、深く感謝申し上げます。
「新国劇」という劇団に入ったのがすべての始まりでした。明治末期に早稲田大学教授の坪内逍遥からシェークスピアと演劇革新運動を学んだ同大生の澤田正二郎が1917年(大正6年)に創立し、菊池寛らの当時新進作家の新劇と「月形半平太」「国定忠治」などの時代劇を両立させて演劇界をリードし続けた劇団で、歌舞伎の「立て、タテ」しかない時代に、シェークスピアのリアルな心理と演技術を取り入れて現在の日本の殺陣を誕生させました。「殺陣(たて)」の文字を考案したのも澤田です。
私はその殺陣を、新国劇で名人と謳われた宮本曠二朗先生から学び、「免許皆伝」を授かって継承し、新橋演舞場、明治座、新宿コマ劇場、御園座(名古屋)、新歌舞伎座(大阪)などの大劇場系の殺陣を付け、日本時代劇研究所を設立して若い人たちに伝承しています。特に究極の殺陣といわれる「殺陣田村」は、すでに半ば廃れ、映画界で名人級の若山富三郎さんがNHK「富三郎の談話室」の最終回で「殺陣田村」をおこなった折に短い一騎打ちをやり、「紅白歌合戦」で宮本先生と「殺陣田村」の指導をしましたが、私の日本時代劇研究所でなければもう永遠に出来ません。
ただ、私の人生の目的は殺陣師ではありません。新国劇の殺陣を免許皆伝し、様々な舞台で殺陣師として呼んでいただくからで、時代劇やジャズなどの脚本を数多く書き、小説もローカルな文学賞ですがいただいてはおります。今回、早稲田大学を卒業して新国劇に入った目的をふと思い出しました。「第二の三島由紀夫になる」。それが私の目標でした。三島は小説以外に浪漫劇場を主催し、脚本、剣、俳優、盾の会、さまざまなことをやりました。私はこの賞をいただき、今、新たな闘志に燃えています。ありがとうございました。
第十回 あらえびす文化賞受賞
滝 洸一郎
■滝 洸一郎(たき こういちろう)氏のプロフィール
作家・殺陣師。日本時代劇研究所所長、日本作家クラブ副理事長。
1950年福岡県久留米市生まれ。県立明善高校卒。早稲田大学法学部卒。劇団新国劇入団、俳優。在団中にケニアにスワヒリ語留学。新国劇解散後、東都よみうり新聞社に入社、編集長を務めると同時に浅香光代劇団の脚本を25年担当。小説「ケニア夜間鉄道」で第四回ちよだ文学賞大賞受賞。その他の小説に「歌麿伝 とんぼ恋しや恋しや女房」「射よ、あの暗闇の中を」など。脚本に「ひとり旅」「殿様辰三郎」「最後のジャズ」「須磨子と正二郎」など多数。殺陣師として大劇場系の殺陣を付け、昨年は本邦初演「オペラ平家物語」で殺陣と時代劇所作指導を行った。
■選評
第十回「あらえびす文化賞」を受賞された滝洸一郎さんは、日本の殺陣を誕生させた「新国劇」の出身でその殺陣を継承し、日本時代劇研究所を設立して次世代の若者に伝承続けている。また、女剣劇浅香光代劇団の時代劇脚本を25年担当し、作詞家の荒木とよひささんがジャズを基盤にした舞台初総合演出「いつかA列車に乗って」では脚本・演出を担当し、本邦初演の「オペラ平家物語」では殺陣と時代劇所作指導をおこない、新橋演舞場など東京大阪名古屋の大劇場系の殺陣を付けるなど、さまざまな分野とさまざまな職域で舞台芸術の発展に貢献され続けてきた。その間、小説も書かれ「ケニア夜間鉄道」では第四回ちよだ文学賞大賞を受賞、昨年は「歌麿伝 とんぼ恋しや恋しや女房」を出版。
特に殺陣に関して、滝さんは「シェークスピア+1000年の侍文化=殺陣」のタイトルで、日本の殺陣誕生にシェークスピアが大きく影響している歴史的事実を世界に伝える活動をしている。明治大正昭和のシェークスピア研究の第一人者・早稲田大学教授の坪内逍遥からシェークスピア劇のリアルな心理描写とリアルな演技を学んだ同大学生の澤田正二郎が1917年(大正6年)に「新国劇」を設立してリアルな殺陣を誕生させ、日本映画の父・牧野省三が澤田に懇願して映画界にそのリアルな殺陣を取り入れ、剣劇、チャンバラ、時代劇が日本中に広まっていった。黒澤明も新国劇での殺陣誕生の瞬間を映画「殺陣師段平」(東映、大映)のシナリオで残し、三船敏郎でリアルな殺陣を実践するほど影響を受けている。
滝さんはそれらを踏まえ、新国劇が生み出した究極の殺陣「殺陣田村」の実演と解説講演で「シェークスピア+1000年の侍文化=殺陣」の活動をおこなっている。なお、「殺陣田村」はシテ(主役)だけではなくワキ(掛かり)も新国劇のリアルな殺陣の基礎がなければ成立せず、現在上演できるのは日本時代劇研究所だけで、シェークスピアから発生したリアルな殺陣とほかの殺陣との違いを実演で解説できるのも滝さんだけだそうだ。
また、女剣劇の復活を目指して浅草おかみさん会の後援で浅草少女剣劇団を立ち上げるなど、舞台芸術のさまざまな分野での活動を評価し、今回の「あらえびす文化賞」の授与となった。
あらえびす文化賞 選考委員長
日本作家クラブ理事長 郷原 宏
授 賞 式
「あらえびす文化賞」協賛法人・団体
OFFICIAL SPONSORS

江戸総鎮守 神田明神



