「あらえびす文化賞」とは
About ARAEBISU Cultural Prize

 本賞は、大正・昭和を代表する国民的大作家である 野村胡堂を顕彰する目的で、「一般社団法人 日本作家クラブ」が創立60周年記念事業の一環として創設し、先ず2013年に「野村胡堂文学賞」、2016年に「あらえびす文化賞」の授賞式を行ないました。野村胡堂は、その生涯の中で、特に江戸の下町を舞台に“目明かし”が活躍する国民文学、捕物小説の一大傑作である『銭形平次捕物控』を著し、戦前・戦後を通じて庶民、大衆を勇気づけてきました。もう一つの顔がペンネーム「あらえびす」として一世を風靡した格調高い音楽評論家。本賞は、こうした胡堂の多様にわたる業績をカバーするために文学賞を除いた文化全般を対象にしています。

日 時
Date and time

  • 令和7年6月12日(木)
    午後4時

会 場
Location

  • 神田明神
    住所:東京都千代田区外神田2丁目16-2

第九回 あらえびす文化賞 受賞者
9th Araebisu Cultural Prize winners

歌手 由紀さおり
俳優、歌手、女優など幅広い分野で活躍。心を癒す童謡、「夜明けのスキャット」など数多くのヒット曲、海外音楽家との共演など、日本の音楽文化の充実発展と国際的評価の向上に大きく貢献。

■受 賞 の 言 葉


 この度は第九回あらえびす文化賞を受賞させていただく事になり、誠にありがとうございます。
 幼い頃、姉が入団していた合唱団に入り歌うことに出逢いました。美しい日本語の言葉、響き、深い情感、季節を愛でる情景の歌の数々…、先人の残された作品を歌うことから始まりました。
 その後、中学、高校の頃に大人の歌い手になりたいと新たな修行時代に入り、ジャズを勉強しNHKの歌のお姉さんになり、CMソングを歌う機会を得ていずみたくさんとの仕事で「夜明けのスキャット」に辿りつくことになったのです。
 今日までの長い道のりの人生に、かたわらにいつも音楽がありました。

 その後、映画「家族ゲーム」で役者にも出逢い、またアメリカポートランドのジャズオーケストラとのコラボレーションアルバム『1969』では、そのアルバムが全世界へ配信され、アメリカのジャズチャート第一位になったりと、いろいろなエポックメイキングな出来事も経験しました。

 また、50周年の時には銀座観世能楽堂での一人舞台に挑戦し、そこでの芸者役を通して三味線と出逢い、この度の55周年のコンサートでは、その三味線の弾き唄いで都々逸を披露できるまでになりました。

 ただ、言えることは今までに出逢った出来事は偶然ではなく、必然であったような気がします。
 私は、自分なりに「こうしたい」「こうありたい」「こうなりたい」と信じて精進、挑戦していく。その結果ではなかったかと。
 まだ自分探しは終わっていません。そんな私に今このような賞をいただけますことは、まだまだ頑張りなさい!と背を押していただいているようで、とても嬉しく、もう少し歌っていけたらと思っています。

 本当にありがとうございました。

第九回 あらえびす文化賞受賞
由紀さおり

■由紀さおり(ゆき さおり)氏のプロフィール

 1969年「夜明けのスキャット」でデビュー。1983年映画「家族ゲーム」で、毎日映画コンクールの女優助演賞受賞。2011年アメリカのジャズオーケストラPink Martiniとアルバム『1969』をリリース。世界的なヒットとなる。2012年 紫綬褒章受章。2019年 旭日小綬章受章。2024年3月デビュー55周年を迎え、「由紀さおり 55thコンサート ~新しいわたし~」を開催。三味線の弾き唄いに挑戦。パリでも公演を行なう。2025年、姉、安田祥子との童謡コンサートは39年目を迎える。5月28日『SHOW(昭)TIME!』(ユニバーサルミュージック)リリース。

■選評

 由紀さおりさんは幼少時より童謡歌手として活躍され、後に歌謡曲歌手として「夜明けのスキャット」が大ヒットしました。以降、NHK「紅白歌合戦」の常連に名を連ね(実姉の安田祥子さんとの共演も含め合計23回出場)、テレビドラマなどの幅広い分野で活躍を続けています。
 童謡の世界では、日本人の琴線に触れる美しいボーカルで私たちの心を癒やしてくれています。安田祥子さんとのデュエットによる歌唱も素晴しく、初めて「トルコ行進曲」の見事なハーモニーに接した時に感銘を受けたのは私だけではないと思います。
 また、「夜明けのスキャット」の大ヒット。続いて「手紙」や「室内灯(ルーム・ライト)」、「恋文」…など数多くの名曲を世に送り出し、今でも多くの人々に安らぎや潤い、感銘を与えています。
 NHKの朝の連続テレビ小説「チョッちゃん」では主人公の母親役を巧みに演じ、「コメディーお江戸でござる」では軽妙な演技を披露、共演の伊東四朗さんとの呼吸もピッタリの名演技は記憶に新しいところです。また、「ドリフの大爆笑」では、いかりや長介さんとの掛け合いが見ものになりました。こうした芸域の広い由紀さんですが、最近は邦楽にも意欲的で三味線や都々逸にも挑戦しています。
 海外演奏家との交流も深く、特にピンク・マルティーニとの共演は国際的にも高く評価されています。2012年の第63回「NHK紅白歌合戦」には米国ポートランドからの生中継でピンク・マルティーニとの共演で「夜明けのスキャット」を歌唱され大きな話題となりました。
 これら国内のみならず、国際的にも日本の音楽文化の普及と質の向上に貢献してきた業績に対し「あらえびす文化賞」を授与するものであります。ご受賞まことにおめでとうございます。

あらえびす文化賞 選考委員長
日本作家クラブ理事長 竹内 博

 

授 賞 式

「あらえびす文化賞」受賞の由紀さおり氏(右から2人目)。左は竹内博理事長、右は神田明神禰宜の菊池重光氏。左端は野村胡堂ご令孫の住川碧氏。
神田明神で行われた昇殿参拝にて。拝殿で竹内博理事長(左)とともに玉串を捧げる由紀さおり氏。
神田明神境内にある「銭形平次の碑」の前にて。由紀さおり氏(中央右)、竹内博理事長(同左)を囲んで。竹内理事長の左は「友人の受賞」ということで駆け付けた元NHKアナウンサーでTVキャスターの草野仁氏。

「あらえびす文化賞」協賛法人・団体
OFFICIAL SPONSORS

江戸総鎮守 神田明神