「あらえびす文化賞」とは
About ARAEBISU Cultural Prize

 本賞は、大正・昭和を代表する国民的大作家である 野村胡堂を顕彰する目的で、「一般社団法人 日本作家クラブ」が創立60周年記念事業の一環として創設し、先ず2013年に「野村胡堂文学賞」、2016年に「あらえびす文化賞」の授賞式を行ないました。野村胡堂は、その生涯の中で、特に江戸の下町を舞台に“目明かし”が活躍する国民文学、捕物小説の一大傑作である『銭形平次捕物控』を著し、戦前・戦後を通じて庶民、大衆を勇気づけてきました。もう一つの顔がペンネーム「あらえびす」として格調高い音楽評論家として一世を風靡しました。本賞は、こうした胡堂の多様にわたる業績をカバーするために文学賞を除いた文化全般を対象にしています。

日 時
Date and time

  • 令和4年6月8日(水)
    午後3時

会 場
Location

  • 神田明神
    住所:東京都千代田区外神田2丁目16-2

第六回 あらえびす文化賞 受賞者
6th Araebisu Cultural Prize winners

俳優 高橋英樹
映画やテレビドラマでの名演技が
国民に夢や希望、勇気を与えた功績

■受 賞 の 言 葉

 日本作家クラブ様とは不思議な縁を感じます。私の役者人生にとって思い出深いテレビドラマに「桃太郎侍」があります。放送は今から40年以上になりますが、今でもCSで再放送されているほどの人気時代劇ドラマでした。原作は小説家の山手樹一郎先生です。撮影前に先生のご自宅に御挨拶にお伺いしました。著名な大作家にお会いするわけですから、大変緊張しましたが、先生は柔和な表情で激励していただきました。当時は気が付かなかったのですが、山手先生は貴クラブの第二代目の会長を務めておられ、「桃太郎侍」の放送中にもその職責を果たされていたことがわかり、今回の受賞に際して、改めて貴クラブとの縁と山手先生のご偉業に想いを馳せた次第です。
さらなる縁は、貴クラブの初代会長・野村胡堂先生のお名前を冠した野村胡堂文学賞の第2回目の授賞式において、私の書いた『高橋英樹のおもしろ日本史』(KKベストセラーズ)が特別賞の栄誉に浴したことです。今から8年前の2014年のことです。
私は桃太郎侍をはじめNHKの大河ドラマ等、時代劇を演じることが多くなりました。すると台本に書かれている歴史上の人物、例えば信長にしても島津斉彬や近くは日露戦争で活躍した児玉源太郎などは、どのような人物だったのだろうか、どこで生まれ、どんな人生を歩んだのか。資料を調べたり、彼らが実際に活躍した場所に行ってみたり、石垣を眺めたり、木簡を紐どいたり、関係者の話を聞いたりしているうちに、歴史が大好きになりました。本を出してみると、思いがけず一定の評価をいただき、貴クラブの特別賞につながったものだと思います。おかげ様で、時代劇以外にも歴史を扱ったクイズ番組や、お城の番組等でお声がかかるようになり、俳優という職業の枠も広がったと感じています。
今回は、あらえびす文化賞と言う栄えある賞を賜ることとなり、たいへん光栄に存じております。この賞の名に恥じないような仕事を続けてまいりたいと決意を新たにしました。今後とも皆様の温かなご指導ご鞭撻をよろしくお願い申し上げます。

第六回 あらえびす文化賞受賞
高橋 英樹

■高橋 英樹(たかはし ひでき)氏のプロフィール


1944年千葉県木更津市生まれ。日本大学芸術学部中退。1961年、高校在学中に日活に入社、同年の映画「高原児」でデビュー。68年NHK大河ドラマ「竜馬がゆく」で初の時代劇出演となる武市半平太を熱演し、以後は大河ドラマでは欠かせない存在になる。特に司馬遼太郎原作の作品では重要な役柄を演じ、織田信長、河井継之助、島津斉彬、井伊直弼、児玉源太郎などを演じる。民放でも「桃太郎侍」「遠山の金さん」「三匹が斬る!」などの主役に扮した。この間、芸域が広がり映画や舞台、ドラマでは現代劇やバラエティ、教育・教養番組、コマーシャルなど、現代日本を代表する俳優としてテレビに登場しない日はないほど活躍中。
2014年には『高橋英樹のおもしろ日本史』を上梓し第二回野村胡堂文学賞特別賞を授与された。

■選 評

 今回、第6回「あらえびす文化賞」を受賞された高橋英樹さんほど多くの国民に親しまれている俳優は少ないのではないでしょうか。中でもNHK大河ドラマ「国盗り物語」の織田信長役は今も私の脳裏に焼き付いて離れません。
大河ドラマではその後、何人もの俳優が信長を演じていますが、ついつい“高橋信長”と比較してしまいます。それほど高橋さんの演じた信長は迫真の演技でした。これは信長に限ったことではなく、高橋さんの演じる歴史上の人物は、あたかも時空を超えて現代に蘇ってくるような感覚に陥ります。まさに現代日本を代表する名優とお呼びしてよいと思います。
高橋さんは映画や舞台、テレビドラマで数々の主役を実演家として見事に表現され続けている“かけがえのない存在”です。特に時代劇を演じれば、他の追随を許さない圧倒的な存在感、華麗なる殺陣捌き、臨場感あふれる名台詞が観客や視聴者を魅了してやみません。
こうした迫真の演技が国民に夢と希望と勇気を与えた功績はきわめて顕著です。まさに日本作家クラブ初代会長・野村胡堂のペンネーム「あらえびす」の精神を見事に体現していると言ってよいでしょう。高橋さんに「あらえびす文化賞」を贈賞できることは主催者として喜びにたえません。真におめでとうございました。今後の益々のご活躍をお祈り申し上げます。

あらえびす文化賞 選考委員長
日本作家クラブ理事長 竹内 博

 

授 賞 式
Photos and Movies

神田明神会館にて俳優の高橋英樹(たかはし・ひでき)氏に賞状と副賞、神田明神から神田明神賞が授与されました。

銭形平次の碑の前にて。

「あらえびす文化賞」協賛法人・団体
OFFICIAL SPONSORS

江戸総鎮守 神田明神